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2012 夕張XC・・・ガチバトル

IMG_3673.jpg

「メガネ貸してください!」
「何・・・?」
「メガネ(工具)貸してください!」
なんだと・・・!レース中に走ってるライダー停めて工具貸してくれだと!
僕は我が耳を疑った。



時期は前後するけど5/27に夕張XCに参加してきました。
今さらだけど面白い出来事があったので書いてみました。


登場人物
Aクラス #102 高見 良隆(猫シャチョー) バイク屋さん
Aクラス #001 逸見 将人(バケモノ)
Aクラス 下の方w もっこす(ヘタレ)


今年の北海道XCシリーズ第2戦だ。
XCシリーズ参戦なんてどれくらい振りだろうか。去年は夕張1回だけじゃなかったか。
僕は木古内2デイズエンデューロ参戦を目前にして、ちょっとレース慣れしておくかというゆるい気持ちでエントリーした。でもまあレースになれば少々気合も入るだろう。
レース前まで天気が悪かったのでタイヤもいいのに交換してきた。

当日の朝に会場に着くと・・・少ない。パドックはスカスカだった。
前回の当別大会に続いて今回も30数台。
パドック奥に高見道のメンバーがいた。

「今日も優勝?前回の当別大会に続いて2連勝?」
もっこすさんが軽薄そうに聞いてきた。
「夕張は苦手なんで無理ですよ。それに今回はバケモノが出てるし」

良隆は去年2ストKTM250EXCから2ストYZ250に乗り換えたが純モトクロッサーのレスポンスにまったく体が適応出来ずにパッとしない成績でそのシーズンを終えてしまった。
それから色々とセッティングを変えてエンデューロ向きにするとだんだんと乗れるようになってきた。
一番効果が大きかったのは大きくない体格に合わせて車高をグン!と下げたことだろう。
バイクと体が馴染んできて、乗る度に速くなるのが実感出来るようになると、バイクに乗るのがやたらと楽しくなり、冬でも、雪の中でも毎週のように乗った。
今年はイケル!負ける気がしなかった。タイムも赤ゼッケンと充分張り合える。
順調に行けば赤ゼッケンに昇格出来るはずだ。

しかし今日は前回のレースに出てこなかった「バケモノ」が来ている。
そのバケモノが調子付いた時にはまったく手に負えないのだ。時には赤ゼッケンでさえも。
最初からヤツのことは意識しないようにだろうか、良隆の口からはやや消極的なセリフが出てきた。
そして良隆は「バケモノ」の走りを目の当たりにすることになる。


その「バケモノ」は飄々としていた。将人はレース前の緊張感など無く夕張フリーライドに来た感覚だろう。
レース前はいつものようにみんなでバカ話をしている。
見た目普通の青年だがいざレースが始まると彼は変身する。



スタートの時間が迫ってきた。我々Aクラスは10台ほど。
僕はほぼ真ん中を陣取った。右横に猫シャチョー。右端の斜面に将人が並んだ。
「スタートは一番端からゆっくり出ますから」ニコニコしながら将人が言った。本気か冗談か分からない。
猫シャチョーはああ言いながら燃えてるに違いなかった。YZ250はパワーがありすぎるのでフロントアップしてこっちに傾いてくるかもしれない。僕はバイクをやや左にずらした。

前の列に並んでいた赤ゼッケンたちが一斉にスタートした。
すぐに大きな水溜りがあり、派手に水しぶきを上げている。
Aクラスのスタート!反応良く前に出た・・・と思ったら前輪が浮いてきた。なんだ一番意気込んでるのは僕じゃないか。
仕方なく一瞬アクセルを戻すと右から将人が前方に切り込んできた。やられた。
大量の泥水を浴び3~4番手で走り出す。
猫シャチョーは出遅れたみたいだと思ったらすぐにアウトから抜いてきた。

夕張のコースは雪解け水の影響で荒れ放題だった。
狭いコースはたくさんの溝が出来、石もゴロゴロしている。ラインはほぼ一本しかない。
オタオタ走っているとトップはあっという間に見えなくなった。
くくっ、走り辛い。ちょっとラインを誤ると溝に落ちて前転しそうだ。自然と体に力が入る。
しばらく走ると後ろから佐々木君+YZ250Fが追いついてきた。道を譲ったが彼も久々で調子が出ないのかブッちぎられることはなかった。
そうしているとガレた林道で楠井さん+TE310が迫ってきた。
はあはあ、つつかれると体がもたない。先に譲るとだんだん見えなくなった。
なんだ、抜かれてばっかりじゃん。

良隆はエンストしていた将人を抜いて、先を行く赤ゼッケンたちを追いかけた。
「バケモノ」がいようがいまいが精一杯走るだけだ。
今日は調子が良かった。1分先にスタートした赤ゼッケンに追いつき、数台を抜き去った。
前方にガクさんが見える。派手さはないがウルトラスムースな走りで定評があるガクさんだ。
追いついたがさすがに抜くまでは至らない。
しばらくテールツーノーズで走っていたら後ろから突然「バケモノ」が現れて
良隆とガクさんをまとめて抜き去っていった。「凄すぎる・・・」

将人は前を走るバイクにしか興味がなかった。次々と現れるバイクをどれだけ抜くか。
誰を抜いたかなんて覚えていなかった。

はあはあ、もう何周走っただろうか。
本部前を通過する時時計を見るが、止まってんじゃないのかと思うくらい時間が経たない。
30分?あと2時間もあるのか・・・今日は苦行のレースだ。
コーナーを抜けたら雨先生が反対向いて転んでいた。
ゴーグルを外したヘルメットの奥の顔は苦痛に歪んでいた。立ち上がった・・・大丈夫か。
その3周後に僕も同じところで転んだ。痛かった。

マディなレースだと思って軟質目のタイヤを履いてきたからかタイヤにまったく接地感が無い。
ちょっと傾けたらそのままパタンと倒れてしまいそうだ。
とうとう赤ゼッケンに周回遅れにされた。もう来たか・・・。
これからどんどん赤ゼッケンが抜いてくるな。ちょっと早いが給油のためにピットインしよう。
ピットエリアで給油していると猫シャチョーと将人が横を通過していった。速っ!
彼らにも周遅れにされちまったか。レースはまだまだ1.5時間残っていた。

コース最上部に一ヶ所だけぬかるんだヘアピンカーブがありそこには深い轍が出来ていた。
僕は1周目から用心していたので、いつものようにその轍のアウト側をソローッと通過しようとしたら
後輪が滑ってイン側を向き、前輪だけその深い轍に落ちてしまった。
前輪が消えてしまうほどの深い轍だ。一人の力ではどうしようもなかった。
嵌っている僕を五十嵐さんが2回目の周遅れにしていく。
しばらくしてマーシャルの竹内さんが来て助けてくれた。はあはあはあ。

はあはあ、レースも終盤に差し掛かった。
佐々木君が抜いていった。レース序盤のライディングとはまったく違っていて、かなり調子良さそうに乗っている。疲れてないの?
とうとうBクラスのライダーたちも追いついてきた。みんな元気いいなあ。どうぞ先に行ってください。

白神さん+KTM250EXC-Fも抜いてきた。えええ?速い!前回とはまるで別人だ。
直後に立蔵親子にビュビュンと抜かれた。彼ら3人がまるでウサギとそれを追う2頭のオオカミに見えた。
どこまでもつかw しばらく走ると長い砂利の直線の後の鋭角ターンでコースアウトしている白神さんがいた。
やられちゃったね。

将人はRMに乗る赤ゼッケンと戦っていた。
赤ゼッケンはぴったりついていくと時折りミスをしてコースアウトするが、えらい勢いで戻ってくる。
赤ゼッケンも黒ゼッケンに追われてびっくりしたことだろう。
抜かれてたまるか、いや抜いてやるの意地の張り合いで走り続ける。
そしてコース上部でそれは起きた。

ジャンプの後に轍のあるぬかるんだ右コーナー。赤ゼッケンはラインを間違えコースアウトした。将人は抜こうとしたらコースに戻ってきた赤ゼッケンと衝突してしまった。
すぐさま将人は追った。ん?スピードが出ない。何かがおかしい。
バイクを停めてよく見るとチェンジペダルが内側に曲がりギヤチェンジ出来なくなっていた。
将人は頭の中が真っ白になった。

はあはあ、あと2周くらいでゴールになりそうだ。
こんなにのんびり走ったことなんてあったか?
コース上部のジャンプ。この後の轍走りにくいんだよな。
ん?前方で誰か手を振って呼んでる。重大事か!

曲がったチェンジペダルはエンジンカバーに食い込み、工具を持たない将人はどうしようもなかった。
これで俺のレースは終わるのか。もうちょっとで抜けたのに。もっともっと走りたかった。
赤ゼッケンとバトルした興奮が急速に冷めていく。と同時に絶望が将人を襲ってきた。
その時将人の目にもっこすさんが映った。彼の腰には工具が入ったウェストバッグが付いていた。
将人は夢中で走り出した。
「おーい、おーい!」

「どーした?」僕を呼ぶ将人に近づくと
「メガネ貸してください!」
「何?」
「メガネ(レンチ)貸してください!」

何だと・・・!レース中に走ってるライダー捕まえて工具貸してくれだと!
僕は我が耳を疑った。
レース中なのだ。僕は工具を貸す必要はなかった。
だが彼の必死さを見て、甘いと思ったが腰からウェストバッグを外した。
チェンジペダルが曲がったというので持ってた一番大きいアクスル用のメガネレンチを貸した。
この輪っかにペダルを通して、てこの原理でグイッと引っ張れば曲がりは戻るのだ。
だが彼はやり方が分からないらしくただ力任せに引っ張り出そうとしている。
僕はバイクを降りて彼のチェンジペダルの曲がりを直した。

良隆は目の前に信じられないものを見た。将人ともっこすさんがコース脇に止まっているのだ。
なんだ?何をやっているのかは分からない。しかし確かなのはここで将人を抜けるということだ。
行ける。レースはもうそろそろ終わりだ。このまま逃げて優勝してやる!
良隆はさらにアクセルを開けた。

ペダルの曲がりはすぐに直った。せっかくレース中断してまで直したんだ。
「優勝しろ!」といって将人を送った。
甘い、甘いな、俺は。せめて工具を投げ渡して自分でなんとかさせれば良かったかもしれない。
しかし将人にこんなところで止まって欲しくなかった。こんなことでリタイヤして欲しくなかった。
彼の速さは未知数だ。赤ゼッケン相手にどこまでいけるか非常に興味がある・・・

将人は一気に元気を取り戻した。高見さんを追うんだ、追いつくんだ!
それまで以上にアクセルを開けた。遅いライダーたちを一瞬で抜き去る。
どこだ、どこにいるんだ。なかなかその姿は見えない。レースはもうじき終わる。将人は焦っていた。

レースはもうじき終わる。将人のことだからきっとくる。それまでに逃げるだけ逃げるんだ。
コースのすれ違い部分で後方を確認すると、ちらりと将人が見えた。来た!
良隆の中で何かがカチリと鳴った。

見えた!高見さんだ!待てー!逃がさん!彼の姿が見えると将人はまたスピードが上がった。彼に近づく為にはギャップも穴もコース脇の草も関係なかった。全てがラインに見えた。
そこそこ速い周遅れのライダーが邪魔だった。抜くのに手間取ればそれだけ差が開いてしまう。
あと半周。

はあはあ、これで本部に戻ればようやくゴールだ。長かった。辛かった。
最後の坂を下るとやっとチェッカーを受けることができた。
離れた車まで戻りヘルメットを脱ぐと虚脱感に襲われた。
やっぱりこれが僕の実力なんだろうな。
Bクラスのライダーにもたくさん抜かれたしな。Aクラス最下位だろうか。
突然ゴール付近で叫び声が聞こえた。

将人はようやく高見さんを射程距離に捕らえた。
将人も良隆も今まで経験の無い全開走行をしている。ここでアクセルを緩めたら負けだ。
最後の長い直線を全開で突っ走り、そのままジャンプに突っ込むと次のコーナーまで飛ぶかと思えたほどだ。
もう少しで高見さんの背中に手が届きそうだ!
短くてギャップだらけの直線を走り坂を下ればゴールだ!

「やったー!うおー!」雄叫びを上げたのは良隆だった。

最後はすぐ後ろまで追いつかれたがなんとか将人に勝った。
まるで火山の噴火のように沸き上がるうれしさに良隆は身震いした。
突然飛び込んできた大騒ぎする2人に周囲は驚いたが、ゴール地点にいた全ての人々が彼らの栄誉を称えた。

右から1位猫シャチョー、2位将人
IMG_3690.jpg



激しいバトルお疲れ様でした。
2人とも最速ラップは最後のバトル中に出たんですね。
まったく別次元の走りに驚きました。
もう今からでも赤ゼッケンになってくださいw

将人へ
エンデューロは自分との対峙だから、レース中は全て自分で何とかするんだぞ。
出来なかったらリタイヤということだ。



追記
これで猫シャチョーは前回の当別に続き、2連勝。

7/1に大沼で行われた第3戦TSE大会は
猫シャチョーは気持ちだけが空回りして 4位
将人は猫シャチョーを半周近く引き離して 1位

現在のポイントランキングは
猫シャチョー 1位 510p
将人   2位 350p

彼らの戦いから目が離せない。







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| エンデューロ | 04:57 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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